「麻薬は人生を破滅させる」と書いてあるポスターを見た。
麻薬を恐ろしいと認識させ手を出すことが無いように、と書いたのだろう。
でもちょっと解りにくいのではないだろうか?
人生の破滅というものがどういうことを自分にもたらすのか直ちに連想されにくい気がする。
「人生を破滅」と言われたところで、
人生に大切なものをいっぱい詰め込んだまっとうな大人ならばそれこそ一大事だが、
人生をまだまっとうに過ごしていない者にこんなことを言ったところで意味は無い。
まだ何も詰まっていないお財布を落としたって別に何も怖くないってことだ。
後になって、そうだったのか~と思わせるのが関の山だろう。
人生の意味など分かってもらえるものか。
まして、人生が楽しかったら麻薬に手を出している場合じゃないだろう?
「破滅」を恐れるような状況じゃない人にこそ伝えるべき内容なのに
そんな人に向かってこんなキャッチフレーズを使ったって全然説得力が無い。
むしろ増長しているようにも思える。
「それこそ持ってこいのシロモノじゃないか!」と考えたりしている奴はいないのだろうか?
遠い将来について考えていられるほど余裕のある毎日を送っていられる訳でもない。
いや、たとえ考えたとしてもこの先常に希望が満ち溢れているとは限らない。
今をどうしようか考えるのが精一杯のときなんて誰にでもあるだろう。
それを考えるのすらバカバカしい気分のときもあるはず。
誰かを困らせたって全然かまわないと開き直るときだってある。
そんなときの苛立ちからそういった道が開けていくと思われるのに
そんなときに破滅へと向かうなんて言われても、そんなセリフではその人は止められない。
その方がマシと思っているんだから。
この人生が終わるまでにもう少しいろいろ試してみることがあるだろうに
色んなしがらみに勝手に絡まって身動きが取れなくなってしまって・・・
そんなときにこの言葉を見たら、そっちに向かってなら動けそうな気がしてしまう。
実は他人の目を気にして動けないだけだったりするのだが
自分を変えることがそんなに難しいことではないということに気付くのはとても難しい。
麻薬に頼らなくたっていくらでも動く力はあるっていうのに。
つまり、
「その前にもう少しやっておくことがあるんじゃないの?」
ということを訴えかけた方がまだマシなんじゃないのだろうかと思う今日この頃であった。